富士通コミュニケーションサービス株式会社は、県内で初めて、市町村の公的遊休施設(市町村が所有する施設のうち、現に使用されていない施設)を活用したサテライトオフィスを開設しました。
当社は1994年12月に、企業向けヘルプデスクサービスを提供するサービスプロバイダーとして事業をスタートしました。以来、ヘルプデスクやシステム運用を中心としたITアウトソーシングサービスやコンタクトセンターをはじめとして、バックオフィス、セールスサポートまで、企業を取り巻く環境や時代の変化、進化に応じて、サービスの幅を広げてきました。
事業環境の変化の激しさが増す昨今、当社では、「企業と顧客を人とICTのチカラでつなぐ」というコーポレートメッセージを掲げ、この事業領域において、人とICTの卓越したサービスにより、お客様のビジネスに貢献し、成功へと導くことを目指しています。そしてお客様企業とその顧客との間に立ち、両者を結び付ける役割をもつ「カスタマーエクスペリエンス(CX:顧客経験価値)」を高める提案をより一層加速させていきます。
日本では少子高齢化の進展に伴い働き手が減少し、都市部での人材確保は厳しい状況が続いています。一方、地方には事務系の働く場所が少なく、介護や子育てのため働きたくても働けない方が数多くいるという現状があります。
そこで、働く意欲のある方々に、介護や子育てをしながら快適に働き、ワークライフバランスを実現してもらえる場を提供したい、そして優秀な人材の確保に繋げたいとの思いから、サテライトオフィスを始めようと考えました。このような当社の考えを福岡県にご相談し、県内の公的遊休施設を複数ご紹介いただいた結果、豊前市と糸島市にサテライトオフィスを設置させていただくことになりました。
ひとつは立地の良さです。ワークライフバランスの実現には通勤のしやすさも大切です。様々な候補地を見て回りましたが、今回サテライトオフィスを設置した物件はいずれも駅からのアクセスが良く、従業員が通いやすい場所にあります。
もうひとつは自治体の熱意です。開設にあたり、近隣の廉価な大型駐車場を探してくれたり、入居物件に関する小さな相談事、例えば、入り口ドアの上部が吹き抜けとなっており冬場は寒いとご相談したところ、職員の方が手作業で防風シートを貼ってくださったりと、常に親身になって対応してくださいました。
現在も、困ったときは市の担当の方と連絡を取り合っており手厚いフォローをしていただいています。
1番は優秀な人材を確保できたことです。開設前は人が集まるのか不安もありましたが、いざ求人募集してみると、採用予定人数の2倍以上の申し込みがありました。現在は従業員の離職率も低く、皆生き生きと働いてくれています。この姿を見ると、我々の進出が多少なりとも地域貢献につながったのかなと嬉しく思います。
また、地方で新たな雇用を生むサテライトオフィスの可能性として、「自治体通信(※)」にも取り上げていただくなど、色々な自治体の方から注目していただきました。今後に生かすことが出来る成功事例になれたのではないかと思います。
※経営感覚をもって課題解決に取り組む自治体とそれをサポートする民間企業を紹介する情報誌。先進自治体の具体的な取り組みをはじめ、自治体経営に役立つ情報を掲載。
北九州サポートセンターを中心とした、2種類のサテライト展開を考えています。
ひとつは「バーチャルサテライト構想」というものです。地域密着型の小さなサテライト拠点を他都市へ展開し、各拠点をネットワークで繋ぐことで、ひとつひとつの拠点は小規模で地域密着に特化しつつ、全体でみると大きなサテライトオフィスとなるような展開を構想しています。
もうひとつは「顧客専用サテライトオフィス」というものです。こちらは名前のとおり特定の顧客専用のサテライトオフィスとして展開していくもので、糸島市に開設した糸島サテライトオフィスがそれにあたります。糸島サテライトオフィスは新日本製薬株式会社様専用のサテライトオフィスですが、新日本製薬株式会社様は福岡に対する地域貢献の想いや、働き方改革に対する想いなどを非常に強くお持ちでした。そういった顧客それぞれの想いを大切に、顧客・地域一体となったサテライトオフィス展開を今後も進めていければと思います。
当社の拠点は全国に12カ所ありますが、うち4拠点がここ福岡にあります。拠点を増やすことができたのは、新しい取り組みを始めたいと思った時に、自治体と密な連携が出来ているからだと感じています。今回、福岡県内にサテライトオフィスを2拠点開設しましたが、サテライトに限らず、様々な働き方や仕事がまだまだあると考えています。今後とも、産・官がお互いに知恵を出し合い協力しながら、一緒に汗をかいていきたいと思います。